2019/02/17 家鳴って

Suzume

今、住んでいる家はよく「家鳴」がする。家中で、ピキッとかパキッという音がよくするのである。常時するというわけではなく、鳴るときは家のあちこちで音がして、それもびっくりするほど大きい音がすることもある。冬は空気が乾燥しているからとか、寒いからとか。梅雨は湿気で木が膨張するのかなとか。でも冷え込んできたなと思う日であっても全く音がしなくて、かえって気になる日もある。そんな日は耳を澄ましても本当に静かだ。
 以前、西宮で住んでいた家は、大手メーカーの家で、木造の新築なら当然するだろうと思っていた「家鳴」が全くしなかったので、転居後しばらくして確認に来た営業の人に言ってみたことがある。その営業曰く、使っている木材やその処理などにより建築後の「音」が出にくいということで、時々、施主から言われることがあるのだそうだ。
 今の家は、メーカーも、建築方法も違うので、やむを得ないのかなとは思うものの、これを書いている今でも家のあちこちでピキピキ音がしている。すぐ後ろの窓で今大きな音がした。人が動いたときの家のきしみとは違ってなんとなく薄気味悪い。
 職場でもある。今の職場は新築のビルで、外壁が全面ガラス張りになっているためか、そのガラスの隅の方がピキッとすることがあるが、特に暖かい日とか、寒い日に起きるようだ。暖房が窓側から出るので、こちらは寒暖差に反応しているのかなと思う。
 そういえば、職場が移転する前の古いビルでの出来事で、今でも時々思い出す「家鳴」がある。たいてい、誰よりも早く出社するので、その日もオフィスに一番に入り、電気とエアコンのスイッチを入れる。あの日は夏で、半袖だったかな。オフィスの一番端の自席についてパソコンの電源を入れて、さぁ、コーヒーでも入れようかと思ったら、オフィスの反対の端の天井の方から、パキッ、パキッと大きな音がして、それが天井を伝わってだんだんに近づいてくる。何だ?と思っていたら、ついに座っていた席のすぐ上にまで来てパキッと一際大きい音がしたと思ったら、肘掛けにおいていた右腕にビリッと衝撃があった。
 オフィスの端から端まで何かが走り抜けて、右腕に当たって逃げていったようなそんな感じだったのだが、天井を見ても、穴もないし、落雷のような焦げた後もない。腕にも傷はない。その後は、いつもの何でも無い静かなオフィスに戻ってしまったが、今でも、一人でオフィスにいると時々思い出しては、あれって何だったのかなって思う。
 今日は「家鳴」がだいぶひどい。妻と娘が買い物に行ってしばらくしたら、「家鳴」に加えて、誰もいない台所でガラス瓶が当たる大きな音がしたし、突然、Wi-Fiが切れて、ネットワークへの接続が切れた。「家鳴」と関係があるのか無いのか分からないけどね。
 そういえば、髪の毛をフワッと触られるような感じがしたり、ピリッと来たりっていうのもある。髪を五ミリくらいの長さに刈っているので、風になびくわけはない。毛糸の帽子でもかぶっている時であれば静電気かなと思うのだが、家でじっとしていても触られる感じがすることがある。これは、家の中に限らず、家の外でもあるので、「家鳴」とは関係ないのだろうが、「家鳴」があると髪もよく反応する気がしないでもない。
 いったい何なんだろうね。多分、「家鳴」はよくよく確かめれば物理的に明確な原因があるのだろうね。髪や頭皮の感覚にも。いっその事、昔話のように小さい妖怪がいたずらして家を揺すってるって信じられたらスッキリするかもしれないが、そんなイノセントな気分にもなれないっていうのは現代人の不幸かもしれない。原因がはっきり分からないとか、誰かの責任にできないと、なんだか困ってしまう。分からないことがまだまだ多いのにね。
 あれ、そういえば、ちょっと前から、家がすっかり静まりかえっちゃったみたいだ。みんな気のせいだったなのかな?まだ酒は飲んでなかったんだけどな。

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