2017/09/10 ブリュール アウグストゥスブルク宮殿 Schloss Augustusburg at Brühl

ブリュール アウグストゥスブルク宮殿 Schloss Augustusburg at Brühl

 KölnケルンからDB(Deutsche Bahn ドイツ鉄道)の電車に乗ってしまえば20分くらいで着いてしまうBrühlブリュール。プラットホームに降り立った時に、空気が違うことにすぐに気づいたよ。思わず深呼吸したくなるような、木々、草花に濾過されたしっとりと香しい気体にふわっと覆われて、どこかかさついて気持ちが一気に癒されたような、安心感に包まれちゃった。

お城とか宮殿っていう日本語を使って表現するには、外観は少し地味に思えるブリュールのSchloss Augustusburg アウグストゥスブルク宮殿。見学はガイドと一緒でなければならないということで、ドイツ語が分からない人は、オーディオガイドを借りることになる。仕事の合間の週末の息抜き程度の感じで来ているので、パスポートも何もかも部屋の金庫に置いてきたし、キャッシュレスのつもりで来ているから、現金もあまり持っていなかったら、なんと借りられなかったよ。パスポートか、なければ50ユーロの現金がDeposit預り金として必要だったんだよ。全く身につかなかったけど、大学で2年も習ったドイツ語は、案の定全く役に立たなかた。それでも取り合えずガイドについて見学。15人くらいいたかな、その中で半分くらいは日本人。ちゃんとオーディオガイドをしてたよ。

特に玄関ホールと階段の間が思わず息を飲むほどの「絶景」。化粧漆喰の壁と彫刻、大理石(本物と人工のものがあるようだったよ)。青みの強いグリーンと金、白、漆喰の白に刺す影をも計算されている造形。美しい、自然をも従えた高みを感じさせる空間。写真撮影が禁じられていたので、ホームページのリンクを貼るね。

ドイツ観光局HP ブリュールのアウグストゥスブルク城と別邸ファルケンルスト

庭は典型的なヨーロッパの庭だよ。左右対称の美しい庭。木は四角く刈り込まれていてね。本当にきれいではあるんだよ。庭だから当然、自然のものではないしね。

もちろん日本の庭の木も自然のままの姿ではないけれども、幾何学的な形に刈込むことはあまりないかな。完全な左右対称な庭の構成というのも日本にはあまりないね。日本とヨーロッパの自然への寄添い方の違いなのかな。シンメトリーも美しいけど、求められている答はこれだよねって、得意げに答える優等生が、胸を張って背筋を伸ばしている感じをちょっと感じちゃうんだよね。ちゃんとできていますよ、征服しましたよって、誰かに報告する時って、こんな感じになるかなって。

ヨーロッパでは自然と対峙する人間の心持ちの違いを、どこか寂しい気持ちで感じることがあるよ。そこまで強く自然に立ち向かえないって、ね。

きっと、この感覚は日本人とヨーロッパ人の違いというよりは、ヨーロッパの権力者との違いなのかもしれないね。どこから、どんな風に権力が生じたのかっていう歴史的なこともあるだろうけど、そもそも権力者の気持ちなんか分かるわけないかって。ただ、権力者、とてつもない金持ちがいなければ、そもそもこんな建物も、造形も、文化もないんだよねって、そんなことを考えながら、城を巡り、庭を歩いていたら、ビールを飲みたくなっちゃった。まだ、日が高いけど、何とも素面でいるのも気詰まりになって来てね。

冷たいKölschケルンのビール。頭の中がぐるぐると面倒くさくなって来た時、主張が強過ぎなくてなんかちょうどいいんだ。そう、お日さまの照る中で飲んでも、酔うというよりも、頭の中が静かになってすっきりするような、そんな感じ。もう再び作られることは無いだろう美しいものを見られた、素敵な日曜日だったよ。

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