寒さが厳しくなると庭のシデコブシにたくさんの春待芽が出てくる。そのうぶ毛が陽を浴びてキラキラと光ると春遠からじと思う。暖冬のせいか芽の数が多く、庭木というほどの庭でも木でもないのだが、早く膨らんでこないかと楽しみに眺めていた。
それが喧しい鳥のさえずりに朝寝から目が覚めた時には、すでに遅し。芽がすっかりと無くなっている。またも啄まれてしまった。なんとも気落ちした年の瀬だった。
元旦に何気なく庭を見ると小さな芽が前より多く出ていて朝日に輝いていた。思わず小鳥にお願い、「もう食べないで」。さえずる小鳥が来てくれるのも嬉しいが、春先に可憐に咲く白い花も楽しみにしているからね。
そういえば一昨年、枇杷が実をつけるようになってからは、時々、鳥とは先陣争いをするようになった。まだ熟れない、まだ熟れないと見ていると、ある朝、枇杷の木で浮かれた鳥の鳴き声がする。あっと思って庭に出ると、熟れた大きな実はもう啄まれてしまっていた。もうしばらくすると、メジロが我が庭にもやってくる。今年は鳥とも共に楽しむ庭を目指すかな。
鳥にとって正に旬の初物、春待芽。こちらは干物、当たりめ。風呂から上がり、頭のうぶ毛が光らせながら、飲み直しである。
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