空に知られぬ雪ぞ降ける
風が吹くと、花びらが舞い始めて、雲一つない青い空をすっかり覆い尽くしてしまう。ぼた雪ほどは重くはなく、綿雪よりはしっかりとひらひらと舞う。鴨は花筏に乗っているかのようにすっと水面を流れていた。
今日から新しい年度。桜と共に新たな歩みを始める人も多いだろう。今年は東京での満開が早く、空に知られぬ雪で迎える新年度となった。桜まつりは来週末なのだが、この週末、満開そして花吹雪の成城学園前や祖師谷公園に花見客が集まった。
車椅子に乗った老人の団体、酒を飲んで大騒ぎしている若者、和服を着た外国人、よちよち歩きの子どもを連れた夫婦、それぞれに暖かい春の日の花見を楽しんでいる。
空知らぬ雨と詠われれば涙のこと。空よ、知らないことばかりで、あまりに迂闊じゃないか、と言っても始まらない。きらきら光る花びらを浴びて、何かいいことがありそう、そんな気になればいい。それが空からの祝福だと信じて。
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