いつもより少しだけ寝坊をした土曜の朝。10月も末だというのに台風が近づいているというので、雨はもう降り始めただろうか部屋のカーテンを開けてみたら、ベランダの手すりの上に、赤みの強い橙色が見えた。何だろうと思って、窓を開けてみると、いい具合に枝の付いた熟れた柿が一つ置いてあったんだよ。そこにあるはずのないものがちょこんと、「置いてある」っていう感じだったから、驚いたんだ。
2階のベランダで、周りにはそこまで届く木はない。近隣で柿の木がある家なんか知らないし、ましてやこんなに大きくて立派に熟れた柿がどこから?鳥がついばんだ感じもないんだよ。人が食べるにはちょっと熟れすぎているかなというだけ。
「ごんぎつね?」ってママが言っていたよ。この辺りは、ハクビシンはいるけど、狐がいるなんて聞いたことは無いよね。「ごん」は、兵十に悪いことをしたなって思い込んで、くりや松茸を運んでいたけど、我が家ではどうなんだろう。そんな風に思っている「ごん」がどこかにいるのかな。
大きな柿だから、鳥が運んできたとしたら、相当大きな鳥じゃないと。その辺を飛んでるカラスでも無理じゃないかなって思うくらいの大きさだよ。柿の皮にあまり傷がついていないから、たぶん、枝を持って(くわえて)、運んできたんだろうね。我が家の幸せの青い鳥、仙川のアオサギちゃんかな?
ちょっと不思議な柿の出現。いい事の前触れかな。あるいは、辛かったことはもう終わりだよ、っていう知らせなのかなって、思わず口もとが緩んでしまう感じだったよ。小さな秋の、小さな幸せ。今晩のお酒も美味しかった。さぁ、おつもりにしようね。
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