2017/09/08 人を信じることって ケルシュを飲みながら Reissdorf Kölsch

2017/9/8 ケルンでビール Kölsch, Reissdorf Kölsch

人を疑うこと、人を信じること、人に自分を信じさせること、、、。ヨーロッパに来て、人と話したり、鉄道に乗ったりするといつも考えてしまうんだよ、信じる、ということの日本人と特にドイツ人との違いをね。もう10年以上になるかな、毎年のようにドイツに来るようになってから。最初のうちは、表面的には愛想のいいように見えても、ドイツ人は全く人を信用していないように見えたんだよね。積極的に疑っているというのとは違うんだけど、どこかいつも疑いの目を持ってみているような感じがするのにどうしてもなじめなくてね。

例えば、ドイツの鉄道では、改札なんかない。券売機と切符に消印を押すEntwerter、日本語ではよく「打刻機」と訳される機械がぼーっとしていると見落としてしまいそうなところにポツンとあるだけ。その周りには、特に、「切符に消印を押しましょう」なんていうサインはない。ただのオレンジの箱型の打刻機が壁についているだけだよ。全く不親切で、当然、鉄道に乗る人は、みんな仕組みが分かっていて、みんなちゃんと切符を買って、消印を押しているというのが前提となっている。だけど、ちゃんとしない人もいるかもしれないから、私服の係員を乗車させて抜き打ち検査をしよう、というシステムだよね。

日本だったら、不正が起きないように、また、できるだけ漏れなく料金を回収できるように、予め改札の仕組みを整え、さらには、スイカやパスモのようにその改札の仕組みをもっと便利に確実にというように考えて社会のシステムを作っていくでしょ。日本人は、自分が疑われていると、思わされることをとても嫌がるし、疑われたらそれだけで不名誉なことだと感じて怒ることもある、なぜ俺が?、俺だけが?という風に、集団の中から一人自分だけが切り取られたことに違和感を強く感じるよね。だから、できるだけそんな状況にならないように様々なシステムを組んでいくということによって、社会がスムーズに回るようにしている。ただ、このような仕組みは「予め」念入りに考えて、全員を分け隔てなく公平に扱っているようにという視点から考えるので、大掛かりでコストがかかることが多いかな。

ドイツの鉄道の仕組みを見ていると、全員を一律一様に公平に扱おうというのではない。怪しそうな人にだけ私服係員がアプローチするという狙い撃ちという感じだよね。そしてそれで社会がスムーズに動くのは、まず、疑われてて当然、身の潔白は自ら証明するものという考え方が背景にあるからなような気がするよ。

日本のように、まずお互いに何も良くは知らないけど、信用するというところから人間関係を始めてみるのではなく、ドイツでは証明書や、推薦状のようなものまで使って、あるいは自分がこんな人間であるということを積極的に発表して証明していく、それによって初めて信用を勝ち取っていくということなんだろうね。もちろん、日本だって同じことなんだけどね。ドイツにいると、疑う、疑われているかもしれないということに対する違和感、心地の悪さ、集団の中から切り取られた一人としての自分という立ち位置を日本人は嫌がって、受け入れられていない感じを強く持ってしまうのかなって、この頃は思っているよ。

強い信用、信頼を勝ち取るプロセスはどの国民でも一緒だと思うけど、他人同士が集まっている場面、あるいは、他人と初めて出会った場面で、まず信じてもらっていることを前提にスタートするのか、自分が信頼に足る人間であることを積極的に証明しなければ疑われてしまうという状況からスタートするのか、というのが違うのかもしれないね。そういう点では、人前で積極的に自分の考えを発表するということに重きを置いてきた教育を受けている国民と、どちらかと言うと静かに先生の話を聞いてノートを取ることが愛でられる教育を受けてきた国民の違いも、人を信じる、あるいは疑うという心の流れの違いからくるのかもしれないなって、ちょっと思うよ。

いくつになっても、いろいろと考えたり、学んだり、改めなきゃいけないなってことが出てくるので驚くね。あぁ、でもやっぱり鉄道は改札がある方がいろいろと効率がいいのではないかなって思うけどね。さぁ、今晩はこの辺でおつもりにしよう。

 

今日の酒 Nectar of the Day

Reissdorf Kölschの瓶。グラスでわんこそばのようにビールを持って来てくれるビアホールに行って飲むことが多いケルンのビールだが、ビアホールでなければ、ケルン市内でKölschケルンのビールを飲んでも瓶入りで出てくる。ビールの味にこだわれば、やっぱりBrauhausで飲むのがうまいね。

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